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市況レポート「テディベアのマーケットアイ」11月5日号
好評をいただいている、弊社代表・野田隆の市況分析「テディーベアのマーケットアイ」。
ウェブサイトでは、先週の「マーケットアイ」よりトップコラムのみを転載しています。お取引のある皆さまへは、市場動向についてのコラムと併せてお届けしています。購読をご希望の方はお問い合わせフォームよりご連絡ください。
※このレポートは投資家に参考になる経済・市場環境に関する情報を目的としたもので、特定の有価証券の投資を推奨したり、投資勧誘したりすることを目的としたものではありません。また、このレポートは弊社が信頼できると考えられる情報に基づき、独自にこれを分析した見解であり、レポート作成時の執筆者の意見を正確に反映しますが、その内容を保証するものではありません。
1.米国大統領選挙
■トランプ氏の政策
トランプ氏が大統領になると、トランプ氏は1期目にやり残した、覇権を
争う中国の抑え込みに注力すると思われる。懲罰的な関税やハイテク技
術などの規制強化や友好国への軍事費の増額要求など、外交安全保障
や経済通商分野が柱になる。不法移民の強制送還など不法移民の取り締
まりも一層強化する。FRBをはじめ政府機関への干渉や、大型減税の継
続や規制緩和も計画している。
これに対してノーベル賞を受賞した23人のエコノミストがこれらの政
策は物価の上昇、財政赤字の拡大、格差の拡大につながると批判してい
る。いずれにしても、財政赤字は拡大しインフレ率は上昇するのは間違い
ない。
これらの、経済的要因に加えて問題なのは、トランプ氏の登場で米国が
変質してきていることである。経済格差の拡大にいら立つ、カオス願望の
強い貧困な白人の一部が、既存の秩序やエリートに反感を覚え、MAGA
の極端な排斥主義と保護主義になびき、政治的対立を先鋭化させている
ことで分断が深刻化していることが懸念される。
■米国市場動向
トランプ氏が勝利して議会を共和党が上下院とも過半数を抑えても株
価やドルの上昇は限定的と思われる。S&P500株価指数のPERは22
倍で限界に近い。どちらが大統領になっても財政赤字が拡大し物価の上
昇や長期金利の上昇を招きやすい。議会がねじれたときは、政策が停滞
するリスクが高まる。選挙の評価が固まってくると、その後は景気や企業
業績を確認しながらの展開になる。
1日に発表された10月の雇用統計では、非農業部門の雇用者数は1.2
万人にとどまるとともに、8,9月の雇用者が11.2万人下方修正され9
月の雇用増が帳消しになった。企業の求人は減り続けており一部の業種
でのレイオフは増加した模様で雇用は堅調だが減速していて、11月6,7
日のFOMCでは0.25%の利下げが予想されている。
米国の最大のリスクはインフレの再燃。前述したようにどちらが大統領
になってもインフレで長期金利が上昇しやすい。現在の米国経済は大幅
な利上げにもかかわらずインフレが低下し、潜在成長率を上回る水準を
維持しながら利下げに向かうという異例のプロセスにあり、膨大な財政
支出と肥大化したシャドーバンキングの存在で、金利引き締め効果が希
薄化した状態にある。このタイミングでインフレを加速させる政策は、非
常に危険でスタグフレーションに陥る可能性が高い。
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