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市況レポート「テディベアのマーケットアイ」4月14日号

好評をいただいている、弊社代表・野田隆の市況分析「テディーベアのマーケットアイ」。
ウェブサイトでは、先週の「マーケットアイ」よりトップコラムのみを転載しています。お取引のある皆さまへは、市場動向についてのコラムと併せてお届けしています。購読をご希望の方はお問い合わせフォームよりご連絡ください。

※このレポートは投資家に参考になる経済・市場環境に関する情報を目的としたもので、特定の有価証券の投資を推奨したり、投資勧誘したりすることを目的としたものではありません。また、このレポートは弊社が信頼できると考えられる情報に基づき、独自にこれを分析した見解であり、レポート作成時の執筆者の意見を正確に反映しますが、その内容を保証するものではありません。

1.金融経済情勢                         ※次号は4月28日の予定です
トランプ関税の米国への影響
・相互関税については90日後に実施されたとしてもかなり緩和されたものになると思われるが、中国に対する直接・間接の関税の引き上げ、10%の基本関税およびさまざまな製品関税は続くことが予想される。その結果、予想される関税率は28%とかなり高く、米国の経済成長は徐々に縮小し、インフレは4%を超えてくることが予想される。輸入品に対する関税は消費者や企業のコストを押し上げ、不確実性は企業の投資の決定を遅らせる。メリットがあるのは財政赤字だけになる。上院で減税・雇用法の恒久化と追加減税を含んだ予算法案が可決された。トランプ政権は関税による景気の減速や企業業績の悪化を減税と利下げで打ち返す計画である。輸出を増やして国内製造業の復活を目指すが、残念ながら米国内で、低コストで熟練した大量の労働者や技術者を集めるのは不可能で、米国の製造業が復活するのは難しい。
・関税の引き上げなどの経済的分断で同盟国との関係が悪化し、同盟国の信頼を失うと、米国自身も弱体化し投資先としての魅力を失い、海外の投資家は米国の資産を売却する。ドルや米国経済は打撃を受けることになる。先週1週間で、米国10年国債利回りは0.5%も上昇した。米国株の下落で損失を負ったヘッジファンドによる現金確保の売りが殺到した。中国が売っているのでは、との憶測も流れた。米国債は全ての金融商品の中心に位置する商品で、米国債が安全資産でなくなると、米国株やクレジット関連の商品を保有するリスクは飛躍的に高まり、トランプ大統領はやむを得ず相互関税の上乗せ分を中国を除き延期した。
・今後、相互関税の協議が不調に終わるケースに備え、トランプ政権は債券市場の流動性対策として、国債の買いオペを要請すると思われる。
日米関税交渉
日米関税交渉の最大のポイントは為替になることは間違いない。日本の関税の水準自体は低く下げる余地は少なく、また米国製の自動車や農産物の輸入で2024年の約8兆6000億円の対日赤字を埋めるのは難しい。アラスカ産のLNGは採算性に問題がある。円安修正の日米合意はインフレの抑制に効果的で日本にとっても受け入れやすい。円高方向に動かすのも大変だが行き過ぎても問題になる。日銀にも利上げ圧力がかかる可能性が高い。
2.市場動向
米国市場
単なる景気後退が金融危機へ変貌するリスクがあるところはリーマン
ショックと似ている。リーマンブラザーズは潰しても政府は管理できると考えていたが、トランプ政権も同じことをやっている気がする。関税による経済や市場の不確実性は驚くほどの速さで指数関数的に増加し市場は消化できなくなる可能性が高い。マーケットは相互に関連していて、政権が関税政策のリスクを認めずにいる時間が長いほどリスクは大きくなる。関税による企業業績への打撃で株価が下落し、景気が悪化してデフォルト率が上昇する。レバローンやハイイールド債の解約が殺到して金融システムに大きな問題が起こるリスクがある。米中という2大市場への輸出規制が、米国経済だけでなく世界経済に大きなダメージを与える可能性は高い。関税政策によるインフレと景気減退を大型減税と大幅な利下げで乗り切れる可能性は低い。トランプ政権として株価が大きく下落する前に、関税政策を抜本的に見直す必要がある。割高な米国株から相対的に有利な質の高い債券に、グローバルに投資を分散すべきというスタンスは引き続き維持する。
日本
日本株は10%の関税と自動車などへの25%の関税についてはほぼ織り込んでいて、米中間の協議が始まれば全体にリバウンドが期待できる。ただし、米中間の対立については抜本的な解決は望めないことから、株式市場の上値は限定的なものになる。輸出関連やハイテク株よりも、内需関連や中小型グロース株などが買われる展開を予想している。
海外投資家の株式先物のショートが積み上がっていて、日米協議が進展すれば38000円前後まで一時的に大幅に上昇することが期待される。
債券市場は政府の緊急関税対策に注目している。さすがに消費税の引き下げではなく現金給付になると思われる。日銀は為替へ配慮し金利の正常化スタンスを維持すると予想され、円債は狭いレンジでの展開になるのではないか。
為替はベッセント財務長官との協議に向けて140円前後まで円高が進むと予想している。
                                         以上

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