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市況レポート「テディベアのマーケットアイ」3月9日号
好評をいただいている、弊社代表・野田隆の市況分析「テディーベアのマーケットアイ」。
ウェブサイトでは、先週の「マーケットアイ」よりトップコラムのみを転載しています。お取引のある皆さまへは、市場動向についてのコラムと併せてお届けしています。購読をご希望の方はお問い合わせフォームよりご連絡ください。
※このレポートは投資家に参考になる経済・市場環境に関する情報を目的としたもので、特定の有価証券の投資を推奨したり、投資勧誘したりすることを目的としたものではありません。また、このレポートは弊社が信頼できると考えられる情報に基づき、独自にこれを分析した見解であり、レポート作成時の執筆者の意見を正確に反映しますが、その内容を保証するものではありません。

⒈金融経済情勢
⑴日本
日銀の金融政策
米国とイランの衝突が長引くと原油価格が上昇し、円安が進み国内の物価に上昇圧力がかかりコストプッシュインフレが加速する。物価高が消費を冷え込ませスタグフレーションに陥るリスクが高まる。日銀は円安を防ぐため、追加利上げが必要になる一方で、不況リスクから利上げが困難になる。今までの日銀のスタンスを考慮すると、原油価格が100ドルを超える水準で長期化した場合でも金利を据え置き、或いは緊急的な利下げさえ余儀なくされる可能性がある。最も懸念されるのは将来的にビハインドザカーブに陥り、インフレが加速することで、日銀には中東情勢が落ち着いたらただちに利上げを行うなど機動的な金融政策の実行が求められる。
消費税減税
自民党も党の税制調査会で、消費減税について、給付税額控除について議論した。代替財源、システム対応の負担、外食産業や農家の負担の問題など減税に慎重な意見が多く出された。そもそも消費税の減税は、消費額が大きい高所得者ほど減税額が大きくなる逆進性があることや、減税しても材料費の高騰を理由に事業者が価格を据え置き消費者に還元されない恐れがある。問題は2年後の引き上げが担保されないことで、引き上げができないと、財政悪化懸念から長期金利が大きく上昇するリスクがある。
⑵米国民間債務問題
約284兆円のプライベートクレジット市場が投資家からの資金引き上げを求める圧力にさらされている。解約請求は、2025年10月から12月に急増し、2026年も厳しい年となる可能性が高い。ソフトウェア企業への懸念や流動性のなさが一因になっている。
米投資運用サービス大手、ブラックロックは、同社の主力、プライベートクレジットファンドの1つで資金引き出しを制限した。また、金融不正疑惑のある英住宅金融会社が破綻し、バークレイズやアポログローバルマネジメント、ジェフリーズなどで問題が表面化していたことで、不透明なプライベートクレジットの世界で増加するデフォルトが銀行に波及するのではないかという不安が広がり、銀行、資産運用会社や投資会社の株価が大幅に下落した。UBSのレポートによると、現在3%から5%の間のプライベートクレジットのデフォルト率が最大で15%に急上昇する可能性があると厳しいシナリオを示した。AIによるソフトウェア破壊の影響は、投資家にとって大きな不安になっていて、影響はプライベートクレジットにとどまらず、最悪のケースではレバレッジローンやハイイールド債に波及する可能性が高い。
プライベートエクィティーファンドも投資家への払い戻しに直面している。AIによる米国企業のビジネスモデルが予想以上に深刻になった場合、デフォルト率は急上昇する可能性があるが、プライベートエクイティの運用会社は資産の売却と投資家への現金の還元で苦戦していて、高コストな債務に頼らざるを得ない状況になっている。業界は3兆8000億ドルもの未売却資産を抱え、新規調達にも苦戦している。分配比率は昨年は14%と2008年金融危機が最も深刻だった時期以降で2番目の低さに留まり、低迷の長期化に直面している。
ソフトウェアセクターのショックが連鎖的なデフォルトを引き起こすことが懸念される。
2.マーケット動向
⑴日本
一段の下落リスク
先週の東京株式市場で日経平均株価は3229円下落した。ホルムズ海峡の封鎖が原油輸
入の依存度の高い日本の中東リスクが意識され、世界の景気敏感株とされる日本株から資
金が流出した。26年に入り海外勢は日本株を5兆円買い越している。信用の買残は5兆54
05億円まで積み上がり裁定残も3兆8683億円と高水準に膨らんでいて、今後は持ち高の
解消によりもう一段下落し一時的に日経平均で5万円を割れる可能性がある。
来年度の見通しと投資戦略
来年度は、米国のAIバブルの崩壊に連動してプライベートクレジットファンドなどの投資先や
ファンド自体の破綻により、米国の景気や金融市場が大きく混乱する年になると予想してい
る。イランとの衝突が解決しても、米国で負債の多い企業の大型の破綻が続き、リスクを回
避する動きが加速して米国株は大幅に下落する可能性が高い。日本の高市政権は2年後の
参議院選挙に向けて積極的に財政支出を拡大し株価を支えると思われるが、米国の景気の
減速や米国株式市場の混乱の影響は避けられない。
インフレと景気減速のどちらがより大きな脅威になるか、現時点で市場は判断できていない。
単純な株債券の逆相関をベースにした分散ポートフォリオの基本原則は機能していない。ま
た米国の投資適格社債と米国債の利回り格差が3ヶ月ぶりの高水準に達していて海外のク
レジットリスクは取りにくい。分散は単に異なる資産を持つことではなくて、ストレスがかかっ
たときに異なる動きをする資産や手法を持つことが重要である。今後日銀の政策金利の引き
上げのペースはスローダウンし、円債のイールドカーブはスティープニングを予想する。来年
度はオーソドックスな日本株と円債の組み合わせた運用から安定的に収益を獲得すること
が可能になる。
⑵米国
6日に発表された非農業部門、雇用者数が予想外のマイナスの9万2000人減となり、失業
率も上昇し、雇用の先行きに不安が高まった。トランプ政権の関税政策やAIの影響で経済の
先行きは読みづらく、退職者が出ても補充しない企業が目立ち、求人件数は654万人とコロ
ナ禍前を下回るレベルまで減少した。石油価格の上昇が関税の影響やサービス価格の上昇
によるインフレを加速させ、利下げの可能性が遠のく可能性がある。
数日以内に原油価格は1バレル100ドルに達すると予測していて雇用の減速と原油価格の
上昇でスタグフレーションへの懸念が強まった結果、株価指数は揃って下落している。イラン
との衝突で石油価格は上昇しており、車社会の米国では、原油価格の上昇によりインフレが
加速しやすい。
株式市場には押し目買いを薦める意見が多く、原油価格の急騰は一時的で、たとえ紛争が
長引いて市場が不安定になっても、FRBが利下げを実施し市場支えるという見方が多い。米
政権は、足元の問題は比較的早期に解決できると非常に楽観的に見ているが、実際に石油
価格が1バレル100ドルを超えて上昇してくると、楽観論は後退し、株価は本格的な調整局
面を迎えると思われる。
以上

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