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市況レポート「テディベアのマーケットアイ」3月16日号
好評をいただいている、弊社代表・野田隆の市況分析「テディーベアのマーケットアイ」。
ウェブサイトでは、先週の「マーケットアイ」よりトップコラムのみを転載しています。お取引のある皆さまへは、市場動向についてのコラムと併せてお届けしています。購読をご希望の方はお問い合わせフォームよりご連絡ください。
※このレポートは投資家に参考になる経済・市場環境に関する情報を目的としたもので、特定の有価証券の投資を推奨したり、投資勧誘したりすることを目的としたものではありません。また、このレポートは弊社が信頼できると考えられる情報に基づき、独自にこれを分析した見解であり、レポート作成時の執筆者の意見を正確に反映しますが、その内容を保証するものではありません。

⒈金融経済情勢 ※次号は3月30日の予定です
(1)日本日銀考査とALM
日銀が26年度の金融機関に対する考査方針を発表した。不動産業向け貸し出しや住宅ローンの審査管理体制から有価証券の評価損への対応状況や預金の状況などを点検する。25年12月に不動産業向けの融資残高は115兆円と前年同月比で7%伸びており大手行・地銀ともに残高が増えている。大都市圏を中心に貸し出し時の審査や予兆管理が適切に実施されているかを確認する。中東情勢によっては政策金利の大幅な引き上げを迫られる可能性が高く、金利のある世界を迎え、金融機関にとってALM運営が今後いっそう重要になってくる。融資と預金、債券と株式など、資産負債の一体的な管理が今後の経営課題になる。預金が伸び悩む中、資産効率を上げるため含み損を抱えた債券の処理を最優先に取り組むと共に、融資の代替、流動性準備や償却原資としての債券投資の役割を再認識する必要がある。
日銀の金融政策
日銀は物価高と景気減速のリスクで難しい判断を迫られている。植田総裁は、「原油高について景気と基調的な物価の下押し圧力となる可能性がある。一方で、家計や企業の予想インフレ率の上昇を通じて物価上昇率を押し上げる可能性もある」と語り、当面、市場の不確実性が高い中での政策変更は見送り、政策金利は0.75%を維持する一方で、原油高に伴うインフレ圧力が表面化してきた段階で0.25%の利上げを行うことが予想される。
欧州金融市場でも、カタールがイランの攻撃を受けて液化天然ガスの出荷を停止したことを契機に2年債の利回りが急上昇した。市場はECBが6月に0.25%、12月に再度政策金利を引き上げるシナリオを織り込んだ。米国でも、金融政策の影響を受けやすい2年債の利回りは1週間で0.15%上昇し、10年国債利回りは一時4.29%と2月上旬以来の高水準をつけた。
⑵米国
米イスラエル・イラン戦争
米国とイスラエルによるイラン攻撃から2週間経ったが、イランは徹底抗戦の構えで米国を消耗戦に誘い込もうとしている。米国にとって厄介なのは、ミサイルやドローンの発射拠点を完全に破壊できないことだ。ホルムズ海峡は非常に狭く、航行の自由を妨げるのは容易である。米軍の問題は、イランの反応を戦略的に過小評価したことで、トランプ大統領が勝利宣言をする事はできるが、この海峡の安定を取り戻せなければ終結は見込めない。
国際エネルギー機関は、サウジとUAEによるホルムズ海峡迂回ルート利用の取り組みが強化されるため、4-6月には生産量が世界需要を上回るペースで拡大するという見通しを示しており市場に安心感を与えているが、イランが湾岸諸国の生産設備に本格的な打撃を与えないことが前提になっている。米政府はイスラエルに対し、イラン産原油輸出の9割を担う供給基地であるカーグ島への攻撃は、価格が一段と高騰するのを避けるため自制を促している。これ以上の戦火の拡大は世界経済にとって極めて深刻な影響を与える恐れがある。
プライベートクレジット問題
乏しい流動性、不透明な価格形成、解約請求の急増というプライベートクレジット市場で高まっている緊張が、株式市場に影響を与え始めている。世界最大の資産運用会社ブラックロックは一部のファンドからの引き出しを制限することを発表した。またオルタナティブの資産運用大手のブラックストーンも記録的な払い戻し請求に応えるため、一部ファンドの解約上限を引き上げたと発表した。今後信用リスクの不安が高まり投資マネーがファンドから流出し、借り換えできない企業が破綻すると言う悪循環に陥りかねない。
⒉マーケット動向
⑴日本市場
株式市場
13日算出のSQ値は、クイック試算で52909円になった。算出日の日経平均がSQ値をつけなかったことから、リスクを落としたい投資家が概ね売り切ったと言う見方が広がった。
しかし、原油価格が1バレル100ドルを超えて上昇してくると、米国の長期金利が跳ね上がり、米国株がテック株を中心に売られ、日経平均は5万円割れる可能性がある。
中長期的には、日本株について強気に見ている。インフレが定着し経済が安定的に成長するようになれば、安易な上値目処など当てにならないほど株価は大幅に上昇すると予想している。設備投資が拡大していることも心強い。高市政権の供給力強化の成長戦略は、どれだけ対象を絞り込んで集中的に投資できるかがポイントになる。ただし、持続的な株価の上昇に不可欠な社会保障制度などの構造改革については、既得権益を守りたい支持層に支えられた自民党政権には多くを期待できないことは残念である。
ホルムズ海峡の安全が確保されないうちは、大型の景気敏感株よりも、中小型のグロース株にマネーが向かいやすい。これ以上戦火が拡大しなければ、中小型のグロース株が評価される相場になる可能性がある。
債券市場
13日の国内債券市場で10年国債利回りは2.24%まで上昇した。金利の上昇が続くと、日本の投資家はかえって資金を国内に振り向けるインセンティブが働きやすい。日本の債務残高は大きいが社会保障費の支払いが中心で、財政は拡張的とは言えない。金利は低く利払い費も少ない。インフレ圧力が強まり、利上げが加速するリスクはあるが、それでも10年から30年の債券は割安である。原油価格の上昇はインフレをもたらすが、同時も景気も減速するので、必ずしも日本国債にとって悪材料ではないと思われる。
⑵米国市場
リーマンショックの時も、BNPパリバ、ベアスターンズ、HSBCなどがファンドの解約や凍結などを行ったが、当時はそれらは小さなリスクのように思われた。リーマンブラザーズの破綻をきっかけに、世界金融危機が起きることになったが、危機は少なくとも、その前から蓄積され初期的な警告を発していた。現在のプライベートクレジット市場の問題は、2007年から2009年の世界金融危機を招いたサブプライム、住宅ローン問題との間に類似点がある。
プライベートクレジットの問題はシステミックではなく、また、何かショックが起きれば、政策当局がすぐにウォール街の救済に乗り出すという期待が、市場の楽観論を支えている。
2007年から2008年のサブプライムローン問題と金融危機の時は、現在のような原油価格の大幅な上昇が実体経済を悪化させ、金融不安を深刻化させる一因となった。原油価格の上昇が長引くようだと、市場の楽観論は裏切られ、米国の株式市場は高値から20〜30%下落するリスクが高い。
以上

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