News

お知らせ

市況レポート「テディベアのマーケットアイ」1月14日号

好評をいただいている、弊社代表・野田隆の市況分析「テディーベアのマーケットアイ」。
ウェブサイトでは、先週の「マーケットアイ」よりトップコラムのみを転載しています。お取引のある皆さまへは、市場動向についてのコラムと併せてお届けしています。購読をご希望の方はお問い合わせフォームよりご連絡ください。

※このレポートは投資家に参考になる経済・市場環境に関する情報を目的としたもので、特定の有価証券の投資を推奨したり、投資勧誘したりすることを目的としたものではありません。また、このレポートは弊社が信頼できると考えられる情報に基づき、独自にこれを分析した見解であり、レポート作成時の執筆者の意見を正確に反映しますが、その内容を保証するものではありません。

Market Report: “Teddy Bear’s Market Eye” – Jan.6 Issue
Our company’s market analysis series, “Teddy Bear’s Market Eye,” led by our representative Takashi Noda, has been well-received. On our website, we feature only the top column from the latest edition of Market Eye. For our clients, we also provide a comprehensive version that includes additional commentary on market trends. If you wish to subscribe, please contact us via the inquiry form.

Disclaimer:
This report aims to provide information about the economic and market environment as a reference for investors. It does not recommend investment in any specific securities nor is it intended as an invitation to invest. The report is based on information deemed reliable and represents independent analysis and opinions at the time of writing. However, the accuracy of its content is not guaranteed.

1.債券市場
■米国債の金利上昇
10日に米国の12月の雇用統計が発表され、非農業部門の就業者や失業率が予想を上回ったことを受けて、FRBの追加利下げの確率が低下し米国2年債は4.38%、10年債は4.76%まで上昇した。市場はトランプ氏の関税政策を中心に置くことの不確実性や放漫財政への懸念が高まりタームプレミアムが大幅に上昇した。
米国の連邦債務残高は36兆3000億ドル、米国GDP29兆4000億ドルで債務残高のGDP比率は第2世界大戦以来の高水準で、予算における財政赤字は2兆ドルに達している。財政赤字はインフレ要因でこれ以上のインフレ率の引き下げは困難になりつつある。同時に発表されたミシガン大学の1月の消費者調査では5年先の予想インフレ率が16年半ぶりの3.3%に上昇する一方、消費者態度指数の今後の見通しは3.1ポイント低下しトランプ政策がスタグフレーションを招くという懸念が示された。
コロナ禍以降米国債のトレンドは、インフレ心理の変化や米国の財政状況により大きく変化しており、30年以上国際資本市場を支配してきた金利の下降トレンドが転換し、上昇トレンドになるという考え方に慣れて行動を変える必要がある。トランプ氏の再登場はそのトレンドを一層確実にすると思われる。関税政策が政治的不透明感を増し、インフレに対する懸念に拍車をかけている。債券利回りの上昇は株価のPERの上昇にストップをかけ、あるいは現行の水準からPERを低下させる。
■世界の国債利回りが上昇
英国の30年債が1998年以来の一時5.25%、ドイツは半年ぶりの2.71%,イタリア4.29%と2か月ぶり、米国30年は4.92%と1年2か月ぶりの水準まで上昇した。20日のトランプ大統領就任を控え関税によるインフレや大型減税による財政悪化などが懸念された。日銀の政策決定会合を控えた日本国債も30年が2.30%と15年振りの水準へ、10年も1.2%まで上昇した。世界で国債の増発が警戒されていて、G7の24年の国債発行総額は過去最大だった10年並みの2.8兆ドルと前年から6割も増加した。
先進12か国の与党の得票率が過去120年ではじめて軒並み低下した。インフレの長期化、移民の増加にいらだつ国民がノーを突き付けた。聞こえの良い政策を上げる政治家の力が増し近視眼的な財政拡張や保護貿易主義への傾斜が助長され財政支出に歯止めがかからなくなりつつある。

2.株式市場
■米国市場
先週末のダウ30種平均株価は4万1938ドルと昨年11月4日以来の安値で、大統領選挙前の水準まで下げて引けた。雇用統計を受けてFRBはしばらく様子を見る結果、金利高や株安が続くという見方が強まった。今後の動きは20日に発表される関税政策次第だが、短期的な調整が入ったに過ぎないという見方も多い。トランプ氏が金利がかなり高いと不満を表しており、政策運営によっては金利の上昇をくい止めることはできると思われるが、無理な政策で結果的に経済の勢いを止めることになれば、株安になりやすい。
重要なのは今後の企業業績で、2024年第4半期の利益の伸びが予想を上回る可能性は低い。M7の今後1年間の利益成長率は38%と24年の50%を下回る。期待されている減税は既存の延長が中心で、市場は完璧なシナリオを織り込み過ぎている。ハイイールド債の信用スプレッドもアラングリーンスパンが根拠なき熱狂と呼んだレベルで、並外れてタイトで、S&P500の上位10銘柄の時価総額は35%と銘柄の集中が進みすぎで、多少の悪材料にも敏感に反応しやすい状況にある。国民の3分の2がぎりぎりの生活を強いられ、クレジットカード残高や学生ローンの残高が過去最高水準で、負債の多い企業の倒産も増加するなど歪みが拡大している。トランプ政権の政策次第ではあるが株価の15%程度の下落リスクは高まっている。銘柄の集中を避け、国債や日本株などへ投資の分散を行うタイミングと思われる。
■日本市場
日銀は、11月の毎月勤労統計調査で所定内給与が2.7%と32年振りの高い伸びを記録したことを受けて賃上げの浸透に手ごたえを感じており前回会議の時より賃上げの確度が高まったとみている。1月以降の金融政策会合で追加利上げを行う可能性が高い。
日本の株式市場は為替の円安が継続する限り米国株の動向に左右されやすい展開が続くと思われる。米国株の下げに連動して36000~37000円円前後まで下げるリスクがある。
ポイントは為替相場でトランプ政権のスタンスに注目している。現在のような異常なドル高は米国の産業の国際競争力をそいでおり貿易赤字や財政赤字を拡大させている。双子の赤字を一度に削減するためには異常なドル高を是正する必要がある。為替の円安修正が行われれば、日本株は大幅な上昇が見込まれる。
                                              以上

                          

この記事をシェアする

私たちは、資産運用ビジネスを支援しています。

お問い合わせはこちら