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市況レポート「テディベアのマーケットアイ」4月7日号

好評をいただいている、弊社代表・野田隆の市況分析「テディーベアのマーケットアイ」。
ウェブサイトでは、先週の「マーケットアイ」よりトップコラムのみを転載しています。お取引のある皆さまへは、市場動向についてのコラムと併せてお届けしています。購読をご希望の方はお問い合わせフォームよりご連絡ください。

※このレポートは投資家に参考になる経済・市場環境に関する情報を目的としたもので、特定の有価証券の投資を推奨したり、投資勧誘したりすることを目的としたものではありません。また、このレポートは弊社が信頼できると考えられる情報に基づき、独自にこれを分析した見解であり、レポート作成時の執筆者の意見を正確に反映しますが、その内容を保証するものではありません。

1.金融経済市場
■トランプ関税政策の狙いと影響
・トランプ政権と共和党指導部の政策の狙いは、膨れ上がった政
府支出を減らし民間主導の成長を目指すことである。まず、関税
の賦課や歳出を削減することで景気を抑制しインフレを抑え、金
利の引き下げを可能にする。その後減税や規制緩和を行うことで
企業主導の成長に繋げるというものである。政権幹部は、関税は
歳入を増やす重要な手段で撤回することはあり得ないとしている。
また、インフレの抑制に不可欠な富裕層の消費を減らすためには、
逆資産効果の期待できる株価の大幅下落や景気の後退を容認す
ると明言している。
・今後は、実質的に2〜3%の消費税の増税になると言われている
今回の関税が、リセッションに繋がるかどうか見極めていくことに
なる。米国経済はすでに減速し始めており、株価の下落で今まで
経済を支えてきた富裕層の消費が大きく減少し、減税を待ちきれ
ず、トランプ政権が予想した以上に景気が落ち込む可能性がある。
また、関税の実施に伴うインフレが想像以上に長引き、FRBが利
下げに踏み切れない事態も考えられる。
■日本政府の対応
・来週石破総理はトランプ大統領と電話で関税について協議する
予定という。米国に相互関税の適用除外を繰り返し求めるだけで
は事態を打開できる可能性は低い。米国はかなりの覚悟と計画
性で取り組んできており、米の緊急輸入や自動車の検査基準の
見直し程度の提案では見直しはかなり難しい。日本の対米貿易
黒字の主な要因は為替で、大幅な円安の修正計画や、防衛費の
大幅増額の確約などがなければ相互関税の見直しは難しい。い
ずれにしてもトランプ政権は関税政策を米国の構造問題を解決す
る重要な手段にしている。対抗していくには日本も単に経済の問
題にとどめず、外交・安全保障等今後の国のあり方についての議
論を深め、存在感を高める必要がある。

2.市場動向
■米国
S&P500指数は週間で9.1%の下落と2020年3月以降で最大の下落率となり高値からの下落率が17%と弱気相場入りの水準寸前まで迫っている。それまでのいずれ政策を撤回して関税率を下げるという期待もはげ落ち、景気後退のリスクを織り込む瀬戸際に来ている。今後、来年の中間選挙に向けて減税や利下げを積極的に進めていくには、関税による圧力も含めたインフレを抑え込む必要がある。そのためには当面景気の減速や株価の下落を容認すると思われるが、株式市場は当局のスタンスを十分織り込めていない。
共和党は米国上院で追加減税を含んだ予算案を可決するなど債務上限や予算案の成立に向けて準備を進めている。関税に伴うインフレが落ち着けば利下げも可能になり、株価が反発する条件が整う。今後、景気の減速やインフレが予想の範囲で収まるか判断するには2〜3ヶ月要すると思われ、その間は、株式、債券ともに変動の大きい展開になるのではないか。
■日本市場
今週はトランプ政権から医薬や半導体関連の関税に関する発表が予想されていて、内容次第では値がさのハイテク株を中心に株式の指数が大きく下落する可能性がある。関税については最終的には基本税率の10%だけが残る形になると思われるが、その間かなりの紆余曲折が予想される。日本経済への影響は、最大GNPでマイナス3%、企業業績でかなりの減益が予想される。現在の株価は大幅な減益を織り込みつつあり、日経平均の31000円レベルが下値と予想される。
                                          以上


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