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市況レポート「テディベアのマーケットアイ」3月31日号
好評をいただいている、弊社代表・野田隆の市況分析「テディーベアのマーケットアイ」。
ウェブサイトでは、先週の「マーケットアイ」よりトップコラムのみを転載しています。お取引のある皆さまへは、市場動向についてのコラムと併せてお届けしています。購読をご希望の方はお問い合わせフォームよりご連絡ください。
※このレポートは投資家に参考になる経済・市場環境に関する情報を目的としたもので、特定の有価証券の投資を推奨したり、投資勧誘したりすることを目的としたものではありません。また、このレポートは弊社が信頼できると考えられる情報に基づき、独自にこれを分析した見解であり、レポート作成時の執筆者の意見を正確に反映しますが、その内容を保証するものではありません。

⒈金融経済情勢
トランプ関税政策の成否
トランプ政権の政策は、大規模な関税を課すことで世界的な供給網を再構築し、関税収入を主要な税収源にすることで財政赤字を削減し、膨大な財政支出で膨らんだ米国経済の構造転換を図ることを企図している。
高関税を避けたい企業は米国内に工場を建設し雇用を生み出す。将来的にはドル安に誘導することで輸出を増加させることもできる。関税を課す米国に投資資金は集まり、インフレ圧力はドル高によって相殺される。物価は値上がりしても一時的なに上昇にとどまるというのがトランプ政権のシナリオになっている。これに対し専門家の見方は懐疑的で、関税は生産性の大幅な低下を招きかねない。また輸入品の値上がりがサービスやその他の商品などへ2次的な影響を与え持続的なインフレに繋がる可能性があるといった見方が多い。
28日発表された2月の個人消費支出は実績値で前月比0.1%の成長にとどまり3ヶ月でみると年明けから伸びが止まっている。トランプ政権の関税政策を警戒して米国では家計や企業の景況感が悪化してきている。
今後の政策は、どこまで景気の減速や株価の下落にトランプ政権が我慢できるかにかかっている。これまでの膨大な財政支出と金融緩和による資産価格の上昇に支えられてきた米国経済は、持続的な成長の為には財政赤字の削減が待ったなしの状況にある。減税などで国民の生活や格差への不満を和らげるには、本来であれば大企業や富裕層から中低所得者への所得移転をすべきだが、政治的に実現が困難なため関税で賄うことを計画している。多少の株価の下落で関税政策を見直すことは難しいと思われる。
日銀の金融政策
日銀は帰属家賃を除く消費者物価が食料インフレを主因に大幅に上昇していることに注目している。食料インフレは一時的と見ていたが、人件費や輸送費を価格に転嫁する動きもあって長期化する可能性が高くなっている。食品の高騰に利上げで対応すると景気を冷やすリスクがあるが、インフレが予想外に加速する事態は避けたい。トランプ政権の関税政策の国内景気への影響にも警戒を強めながら、30年ぶりの金利水準への利上げを視野に入れタイミングを模索することになる。日銀が利上げに消極的と捉えられたら即座に円安が進み、為替操作を疑われるような事態は避けなければならず、米国景気の減速が明らかになるまでは、利上げにバイアスがかかりやすい。
2.市場動向
米国市場
・ハイテク企業はAIへの支出が天文学的規模に上っていることが問題。少数の銘柄が時価総額の多くを占めていることが特に気になる。シナリオが変わり始めた時に執着することは危険になる。世界の株式市場に占める米国の比率は70%に達していて、欧州の一部の投資家からは米国株を売却する動きが出ている。株式市場は依然として今期の企業業績の増益を予想しているが、万一減益になれば、ただでさえ割高な株式市場への打撃はかなり大きくなる。
・高金利の継続で、今後は負債の多い企業の信用リスクの把握が重要になってくる。リスクの高い債務者がハイイールド債からプライベートクレジット市場に移った為、ハイイールド債のスプレットに今までのように信用リスクを測る役割は期待できない。ファンドの企業価値評価は厳格さに欠けていて、リスクの把握が今まで以上に難しくなっている。
・米国債券市場はインフレの再燃懸念と景気減速の利下げ期待からの膠着状態になっている。関税の賦課がどの程度物価や景気、企業業績へ影響を与えるか確認できるまで2〜3ヶ月程度かかると思われる。物価の数字によっては大きく上昇する恐れがあるが、利下げへの期待が残る以上、一時的な動きに留まると思われる。
日本市場
・日経の社長100人アンケートによると国内景気については拡大傾向にあるという回答が6割に上るなど、企業の賃上げや設備投資拡大などで景気が好調との見方をする経営者が多い。自動車向けの関税はほぼ株価に織り込まれているが、医薬品や半導体への関税の発表があればインデックスはもう一段下落するリスクがある。関税の概要が明らかになれば、日本株は反発する可能性が高い。海外投資家もドイツ株に続く投資先を探している。
・為替は、海外投機筋の積み上がったドル売りポジションや関税圧力で、円安を予想する市場参加者が多い。米国への輸出品の価格は円安が進まなければ輸出価格に転嫁することになる。価格を引き下げなければ消費の低迷やインフレのリスクが高まりドル安になる。トランプ政権の関税政策は自由貿易や安全保障の今までの枠組みを否定する試みで、米国の信頼が損なわれることになる。今後関税をめぐる摩擦が一層激しくなる過程で、ドルの保有を減らす動きが出てくることが予想される。
・日本国債10年債は1.5〜1.75%で推移すると予想している。年内に政策金利を1%まで引き上げるという予想も増えてきているが、トランプ政権の一連の関税政策は行き詰まると見ていて、このサイクルでの日銀の政策金利の引き上げは後1回で終了し、当面様子見になるのではないか。
以上

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