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市況レポート「テディベアのマーケットアイ」3月2日号
好評をいただいている、弊社代表・野田隆の市況分析「テディーベアのマーケットアイ」。
ウェブサイトでは、先週の「マーケットアイ」よりトップコラムのみを転載しています。お取引のある皆さまへは、市場動向についてのコラムと併せてお届けしています。購読をご希望の方はお問い合わせフォームよりご連絡ください。
※このレポートは投資家に参考になる経済・市場環境に関する情報を目的としたもので、特定の有価証券の投資を推奨したり、投資勧誘したりすることを目的としたものではありません。また、このレポートは弊社が信頼できると考えられる情報に基づき、独自にこれを分析した見解であり、レポート作成時の執筆者の意見を正確に反映しますが、その内容を保証するものではありません。

⒈金融経済情勢
⑴日本高市政権の経済政策
高市政権は社会保障国民会議を立ち上げたが、26日の会合に参加した野党はチーム未来だけで、これでは国民会議と言えない。そもそも、消費税の引き下げは時限制が担保されにくく、債券市場の信認は得にくい。所得税の控除と現金給付を組み合わせた給付税額控除を導入する予定であるが、歳入を含めて制度設計をするのは簡単ではない。そもそも少子高齢化の中で、社会保障制度を維持するには、負担増や給付減は避けられず、国民に不人気な政策であっても、国民生活を守るためにしっかりした歳出の見直しや応能負担は不可欠である
⑵米国AI問題が米国経済の脅威に
還付による財政刺激、堅調な消費や底堅い労働市場が引き続き経済を支えていて、トランプ政権のイランに対する軍事攻撃などの地政学的な問題が与える影響は限られているという見方があるが、現在脅威になっているのは地政学的リスクではなくてAIである。
27日には、住宅ローンを専門にしたロンドンの金融会社が破綻し、関連して英バークレイズや米ジェフリーズの株価が下落するなど、欧米金融機関への損失拡大懸念が広がっている。2025年に米自動車部品メーカーのファーストブランズグループ等が破綻した際に、JPモルガンチェスのジェイミーダイモンCEOが「ゴキブリはもっといる」と警鐘を鳴らしたが、その通りの展開になっている。
金融市場に広がる人工知能の脅威論や巨大テックの過剰投資論が打撃となり、ソフトウェア企業やプライベートクレジット市場の動揺が続いている。また、テキストを学ぶために大量のチップを必要とする大規模言語モデルについても、このやり方では人間レベルに届かないという議論も出ていて、各地で林立しているデータセンターが将来過剰設備となる可能性もある。
2.マーケット動向
米国によるイラン攻撃
米国とイスラエルがイランの軍事攻撃に踏み切った。こうなるとイランとの交渉も米国の時間稼ぎだったと思われる。直ちに、石油供給に支障が出てくるわけではないが、石油関連施設への攻撃やホルムズ海峡の封鎖といった事態に発展すると、石油価格は100ドルを超えて上昇する可能性が高い。米国の攻撃は、イランの体制の崩壊や各開発能力に壊滅的な出撃を与えるまで続くと思われる。米国によるイラン攻撃が市場にどの程度の打撃を与えるか、現時点では判断できない。
⑴日本
株式市場
高市首相は、首相自ら表明しているように、たとえ批判されても、潜在成長率が上昇するまで積極的な経済政策を推し進め、政策金利の引き上げについても慎重なスタンスを継続すると思われ、引き続き海外からの資金が流入することが予想される。不安材料は、米国のシステムや過剰投資、民間債務の問題とドル円為替の動向である。ベセント財務長官は日本の金融政策について不満を募らせていて、為替を意図的に円安に誘導していると批判を繰り返している。日本の株式市場は、海外投資家による、米国株からのシフトと思われる継続的な買いに支えられて大幅に上昇してきたがかなり加熱していて、短期的には米国株の下落など何らかの材料をきっかけに大幅に調整するリスクが高まっている。
債券市場
高市政権の積極財政を好感して株式市場が上昇し、為替も円安になっているにもかかわらず、債券の利回りはやや低下してきている。高市首相の政策金利の引き上げに慎重なスタンスを反映してイールドカーブはスティープしやすい一方で、米国債と同様の潜在的なリスクを予見しているのかもしれない。
為替市場
日本の企業や政府は2024末時点で2兆2400億ドルの海外の株式を保有している。これが国内に還流すれば円を大きく仕上げる。国内に資金戻す要因としては海外の株式に比べて、著しく日本株が上昇する時や、日本の国債の利回りが上昇した時が挙げられる。世界的な金融システム不安の高まりも国内への還流を促す。
また、国債の利回りが上昇すれば、日銀に利上げ圧力がかかることも円を押し上げる要因になる。今後、国内投資家の国内回帰する流れが円を支え、緩やかに円安の修正が進むと予想している。
⑵米国
転換期を迎える株式市場
25日エヌビディアが発表した第4四半期決算は市場予想を上回ったにもかかわらず、株価は26日に5%以上下落した。市場全体が転換期を迎えているかどうか見極める時期に入った事を意味している。
税還付による財政刺激、堅調な経済や底堅い労働市場が引き続き株式を支えていて、トランプ政権のイランに対する軍事攻撃など、地政学的な問題が経済に与える影響は限定的である、という見方がある。しかし、現在脅威になっているのは、前述したように地政学的リスクではなくてAIである。米オープンAIが1100億ドルを調達することを決めたが、投資資金が膨らんでおり、新たに調達する資金も2年余りで使い果たす計算になっている。
金融市場に広がる人工知能の脅威論や巨大テックの過剰投資論が打撃となり、ソフトウェア企業やプライベートクレジット市場に動揺が続いている。最近ではBDC株だけでなく、プライベート資産運用に強みを持つブラックストーンやKKRなど大手投資会社の株価も大きく下落している。
インデックスは落ち着いているが、米国株が大きなリスクを抱えていることを個別株のボラティリティーが示している。ハイテク株からエネルギー、素材や生活必需品へのローテーションを反映して個別株のボラティリティーは歴史的な高値まで上昇している。株価が20〜30%下落する可能性が高まっていると思われる。債券利回りは、驚くほど底堅い経済や根強いインフレ圧力がデータで示されているにもかかわらず低下していて、債券市場が株式市場には反映されていない米経済の潜在的なリスクを見出していることを示している
米国債券市場
米国のテクノロジー関連銘柄への失望などで、株式市場に何らかのショックが生じた場合、株高の資産効果が崩れFRBは大幅な利下げを進める。
一方で、支持率の低迷に悩むトランプ大統領は、中間選挙に向けてアフォーダビリティーへの国民の不満に応えるため、一層の財政支出の拡大を行う可能性が高い。労働省が27日発表した1月の卸売物価指数は、前月比0.5%と市場予想を上回った。貿易サービスのマージンが大幅に上昇するなど、企業による関税コストの転嫁が背景にあり、インフレ懸念からFRBの一部には利上げの意見も出ている。
デフレ要因とインフレ要因が混在し、今後の債券市場の動向を見極めるのは難しい。今年も、米国債から他の先進国の債券への分散の流れが続くと思われる。
以上

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