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市況レポート「テディベアのマーケットアイ」12月16日号

好評をいただいている、弊社代表・野田隆の市況分析「テディーベアのマーケットアイ」。
ウェブサイトでは、先週の「マーケットアイ」よりトップコラムのみを転載しています。お取引のある皆さまへは、市場動向についてのコラムと併せてお届けしています。購読をご希望の方はお問い合わせフォームよりご連絡ください。

※このレポートは投資家に参考になる経済・市場環境に関する情報を目的としたもので、特定の有価証券の投資を推奨したり、投資勧誘したりすることを目的としたものではありません。また、このレポートは弊社が信頼できると考えられる情報に基づき、独自にこれを分析した見解であり、レポート作成時の執筆者の意見を正確に反映しますが、その内容を保証するものではありません。


Market Report: “Teddy Bear’s Market Eye” – Dec.16 Issue
Our company’s market analysis series, “Teddy Bear’s Market Eye,” led by our representative Takashi Noda, has been well-received. On our website, we feature only the top column from the latest edition of Market Eye. For our clients, we also provide a comprehensive version that includes additional commentary on market trends. If you wish to subscribe, please contact us via the inquiry form.

Disclaimer:
This report aims to provide information about the economic and market environment as a reference for investors. It does not recommend investment in any specific securities nor is it intended as an invitation to invest. The report is based on information deemed reliable and represents independent analysis and opinions at the time of writing. However, the accuracy of its content is not guaranteed.

1.金融経済動向
■急拡大していた米国の需給ギャップ
米国の需給ギャップは昨年の3Qにそれまでのマイナスから突然大幅なプラスに転換し、さらに上昇して足元ではリーマンショック直前の水準を上回って推移している。この間、高インフレが続いていたにもかかわらず需給ギャップのプラスが大幅に拡大した。バイデン政権の財政支出がいかに大きかったが分かる。急激な金融引き締めにも拘わらず、今年GDPが2%後半に増加したことや、株価が大幅に上昇したことが理解できる。
今後は徐々に財政効果が薄れるのに伴い需給ギャップは縮小していくと思われる。
■トランプ新大統領とイーロンマスク氏
トランプ新政権は米国を追いかけて来る中国を抑え込むことを最大の使命とし、米国の製造業を再興し雇用を増やし物価の高騰も克服する。米国のウクライナ支援の補償を欧州に求め、国際機関への補助金を含め5000憶ドルを削減したり、国債の利払いを抑制して財政赤字を大幅に減らすなど、公表された政策はやや荒唐無稽な政策に思える。これで物価の上昇に苦しむ米国の労働者の怒りに応えられるとは到底思えない。
トランプ新政権が予想外にインフレを抑えながら高成長を達成できるとしたら、イーロンマスク氏の政策を着実に実行した時ではないかと思う。
マスク氏は、例えばロケット発射の国有地利用やAI関連の小型原子炉による発電など規制を緩和すれば米国は成長し税収は増え財政が健全化すると考えている。リスクはトランプ政権とマスク氏の利害の相違が鮮明化した時ではないか。マスク氏は上海で年95万台EVを生産しており、トランプ政権が米国企業の中国事業の縮小撤退を重視するとマスク氏の中国事業の不透明感が高まり、収拾の仕方によってはマスク氏が辞任する可能性が高い。
■日本経済は予想よりも底堅い
10-12月実質GDPが前期比年率1.0%と3四半期連続成長した。設備投資が全体をけん引している。先日発表された日銀短観でも企業の業況感は高水準で、中小企業でも価格転嫁の動きが広がってきている。設備投資意欲は強く資材の高騰や人手不足から投資の先送りを余儀なくされている。企業によっては値上げは進んでも人件費などのコストを賄いきれず収益が悪化するところも出てきており物価上昇で消費が下振れする懸念がある。日銀の植田総裁は12月決定会合での利上げをまだ決めていないのではないか。為替が落ち着いていれば、トランプ氏の大統領就任後の1月でもいいと考えているのではないか。
2.今後の投資について
■株式は米国株より日本株
経済成長と金利低下を追い風に株価指数は足元から1割前後上昇する。巨大ハイテクの優位性は縮小するがM7を除くベースで493社の25年純利益は10%以上増加するというのが凡そのマーケットコンセンサスになっている。現在の米国景気は景気サイクルの後期でたとえ誰が大統領になっても景気は減速しつつあることを認識できていない。可処分所得の伸びが鈍化しており今後消費支出に響いてくる。PERは22.5倍と割高で、PBRは5倍とITバブル時のピークを越えている。トランプ新政権では好材料と不安材料が混在しており、今後のボラティリティーの上昇は避けられない。AIの相場の上昇はすでにピークを打った。今後は割高なバリエーションの修正が起こる可能性が高い。
インフレが相対的に低いのが日本株の魅力でバリエーションも低く、米国株より投資妙味があると見る海外の長期投資家が増えつつある。米国の関税引き上げは株価の下落要因になるが、日本企業は現地化が進んでいて影響は大きくない。2%のインフレと2%を超える賃上げは継続する可能性が高い。日系大手証券会社は25年成長率は潜在成長率を超える1%、EPSも10%の増加を予想している。
■為替
プラザ合意から40年、ドルはプラザ合意以来の高値圏にある。製造業の復権を訴えるトランプ政権が、逆効果のあるドル高を招く政策を進めようとしている。基軸通貨としての役割を重視し強いドルを擁護するのか、インフレが落ち着くのを待ってドル安に誘導するのか、新政権の為替政策は不明である。ただし、中国が関税対策で人民元安を容認していることを黙認することは考えにくい。あえて関税などの保護主義を用いるよりも、中国を為替操作国と認定して通貨の切り上げを迫る可能性も否定できない。
トランプ新政権の為替の政策がはっきりするまではやや円安気味の動きの鈍い展開を予想する。

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