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市況レポート「テディベアのマーケットアイ」12月23日号

好評をいただいている、弊社代表・野田隆の市況分析「テディーベアのマーケットアイ」。
ウェブサイトでは、先週の「マーケットアイ」よりトップコラムのみを転載しています。お取引のある皆さまへは、市場動向についてのコラムと併せてお届けしています。購読をご希望の方はお問い合わせフォームよりご連絡ください。

※このレポートは投資家に参考になる経済・市場環境に関する情報を目的としたもので、特定の有価証券の投資を推奨したり、投資勧誘したりすることを目的としたものではありません。また、このレポートは弊社が信頼できると考えられる情報に基づき、独自にこれを分析した見解であり、レポート作成時の執筆者の意見を正確に反映しますが、その内容を保証するものではありません。

※次号は1月6日の予定です、よいお年をお迎えください。
1.日米金融経済動向
■日米の金融政策
12月の日米中央銀行の会合は対照的な結果となった。トランプ次期大統領の高関税政策などのもたらすトランプリスクへの警戒が滲み出た。FRBに対してはタカ派方向、日銀に対してはハト派方向の圧力になった。FRBは2025年のペースを緩め1番厳しい金利引き下げになる一方、日銀は利下げを見送った。
米国債10年利回りは4.59%とトランプ政権のインフレリスクを織り込む水準まで上昇した。今後は関税の引き上げの内容や移民の強制送還の有無などで利下げの回数は変化してくる。
日銀は経済・物価が想定通りになれば利上げできるというのが基本的な考え方で、トランプショックが一時的なものにとどまり米国経済の基調は崩れないという見通しがたてば1月の決定会合での利上げが可能になる。27日の東京都消費者物価や、1月14日の氷見副総が懇談会の講演に注目が集まっている。3,4月のほうがより確実に賃上げやトランプ新政権の政策を確認できるが、そこまで引き延ばすと為替のキャリートレードが積む上がり円安が加速する可能性が高まってしまうリスクが高まってしまう。
■米国経済見通し
来年の米国経済成は2%の成長が期待されているが、英国の学者による過去の先進国の50年のトリクルダウンの検証した研究は、格差がますます広がる一方、成長や雇用への寄与は皆無だったことを示しており、そこまでの成長は期待できないと思われる。
また、トランプ氏はビジネス界の大物を次々と政権に迎え入れており、今後企業寄りの政策が勢いづくことが予想される。米医療保健大手ユナイテッドヘルスの幹部が撃たれた事件があったが、背景には支払いをしぶる保険会社への批判があるといわれ、米国内の企業不信はかつてないほど高まっている。トランプ氏は、労働者よりの姿勢を強調するため関税引き上げで製造業を復活に支援するが、むしろ生活必需品の値上がりが低所得者の打撃になってしまう。減税等の景気押上効果は0.5%程度と言われており、財政効果の減衰を打ち返すのは難しく、すでにピークを付けた米国経済の来年の成長率は1%前半に低下すると予想している。
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2.投資戦略
■基本的な考え方
良好な経済、利下げ期待や2桁の増益が期待できる企業業績を背景に米国株に強気な投資家が増えていて、世界の時価総額の5割を占めるなど、株式投資は米国へ一極集中している。来年も10%程度の上昇余地があるという予想が多いが、ここから上値を買うにはハードルが高い。かなり割高になっており、期待リーターンが低下している。過去の実績でもPER20倍を超えた時点以降のS&P500の収益率は低下しているといわれていて、利益確定のインセンティブが働きやすい。個別では大型ハイテクを減らしてバリュー株や小型株へシフトしておくのが望ましい。
欧州は景気が悪く中国は関税が不安になる。日本はインフレも低く関税の影響も比較的軽微で、株価も割安で自社株買いや配当にも積極的なことから消去法で選好される。
米国債はトランプ新政権の関税政策や移民政策によるインフレ懸念で一時的に上昇するが、今後エネルギー価格の下落が予想され金利の上昇は限定的と思われる。
円債はインフレの持続性に疑問を感じていたり、日本経済が0.5%以上の金利には耐えられないと考える投資家が多く、利上げにもかかわらずこれまでの金利の上昇が比較的小幅だったため、今後0.5%を超える利上げが行われるときは金利が大きく上昇する恐れがある。
為替は、通貨の強さを重視するのか、輸入を減らし輸出を増やすためにドル安に誘導するのか、それとも個別に対応するのか、トランプ新政権のスタンスがまだ見えてこない。当面は緩やかな動きにとどまると思われる。
■想定されるリスク
今後想定される蓋然性が高いリスクは中国経済の失速で、中国経済は過剰な生産能力や不動産の不良債権の処理に追われていて、米国の追加関税の大きさによっては26年成長率が3%程度まで減速する可能性があり世界経済への影響が懸念される。
トランプ新大統領とマスク氏の政策の不一致も懸念材料になる。今回つなぎ予算をめぐっては、トランプ氏の意向をくんだ政府債務の上限引き上げを求めるが、共和党の一部議員の反対で否決され、債務上限に関する条件を省き、歳出削減を加えたマスク氏の意見を取り入れた法案が可決された。どちらが大統領かわからない、という不安を感じる。
以上
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