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市況レポート「テディベアのマーケットアイ」6月23日号
好評をいただいている、弊社代表・野田隆の市況分析「テディーベアのマーケットアイ」。
ウェブサイトでは、先週の「マーケットアイ」よりトップコラムのみを転載しています。お取引のある皆さまへは、市場動向についてのコラムと併せてお届けしています。購読をご希望の方はお問い合わせフォームよりご連絡ください。
※このレポートは投資家に参考になる経済・市場環境に関する情報を目的としたもので、特定の有価証券の投資を推奨したり、投資勧誘したりすることを目的としたものではありません。また、このレポートは弊社が信頼できると考えられる情報に基づき、独自にこれを分析した見解であり、レポート作成時の執筆者の意見を正確に反映しますが、その内容を保証するものではありません。

⒈金融経済情勢 ※次号は7月7日の予定です。
米国
・アメリカは21日夜、イランの各施設3カ所への攻撃を明らかにした。この攻撃によりイランからの報復が懸念される。地域紛争への発展や石油を含めた貿易に支障が出る恐れが高まった。いずれにしてもイランとの戦いは簡単に解決できるものではなく、エンドレスな衝突と混乱に米国を含む世界が巻き込まれる可能性が高くなった。
・トランプ政権は支持層の共感を得やすい不法移民問題への取り組みを強めている。不法移民の摘発を強化する中で、経済活動が萎縮する懸念が広がっている。移民依存度の高い農業、外食、介護、食肉加工などの業種で人手不足感が広がっている。ヒスパニックの推定購買力は全体の約1割強を占める400兆円と言われていて、このままだと米景気に痛手を与えることになる。
・5月の米国の小売売上高は前月比0.9%と大幅に落ち込んだ。関税によるインフレの影響はまだ見られないが、駆け込み需要が一巡し、物価の上昇が常態化する中で消費者が支出を抑える動きが始まっている。4月の中古住宅販売も年率換算で400万戸と前月から0.5%減少して、同月としては16年ぶりの低さになった。
・FRBは18日のFOMCで4会合続けて政策金利を据え置いた。関税の影響を考慮して、2025年の成長率を1.4%に引き下げる一方で、物価は3%、失業率は4.5%に引き上げた。今後数ヶ月で高関税を価格に転嫁する動きでかなり物価が上昇するとみている。FRBは物価の安定と雇用の最大化を目指すが、関税の物価への影響の大きさや持続性をより慎重に見極めようとするスタンスを取っている。FRBがインフレを注視するあまり慎重になりすぎて、緩和のタイミングを逃すリスクがある。
日本
・日本の5月の消費者物価は3.7%増加した。物価高の要因が資源や円安から人件費などの国内要因へシフトし、企業の値上げへの抵抗感が薄れてきている。
・日銀の植田総裁は政策決定会合後の記者会見で、今後の利上げは様々なデータや情報の総合判断と述べ、慎重に正常化路線を堅持することになる。・イランとの衝突の激化に伴い原油価格が上昇するなど、今後さらに物価が上昇する可能性が高まってきている。1985年のプラザ合意以降の円高時も、日銀は円高不況を重視し、引き締めが遅れバブルが拡大した。今回は景気に配慮することで、インフレへの対応が後手に回ることが懸念される。
2.投資戦略環境認識
トランプ政権の政策は結果として投資の米国一極集中の見直しにつながり、ドル高が修正される。また各国とも債務残高が限界に達しつつあり、これ以上の財政支出は債券利回りの上昇に繋がりやすく、頼れるのは金融政策だけになる。貿易システムがグローバルから地産地消に変化する中で各国の成長に優劣がつくことになる。日本
・円債
日本の国債発行はコロナ禍以降わずかながら減少していて、財政赤字もピークから緩やかに減少している。日本の対外純資産が名目GDPの90%と大幅にプラスになっていることを考えると、日本の国債について他国と比べて過度に悲観的になる必要はないと思われる。先進国の中でも突出してスティープ化が進んでいて、日本の超長期の国債は他国と比較すると魅力的な水準にある
・日本株
今週の日本株市場は、イランの報復や石油価格の動向に反応して大きく変動する展開を予想する。ホルムズ海峡のタンカーの航行に支障が出ると、混乱は避けられない。海外投資家が11週連続で買い越していて、企業による積極的な自社株買いで需給が引き締まっている。中東情勢が第3次オイルショックのような事態にならなければすぐに落ち着くと予想している。
・為替
先週ドル円の為替は円安気味に推移している。日本製鉄によるUSスティールの買収が18日終了した。約2兆円に上る買収関連の取引が行われた可能性があるとみられている。21日夜アメリカがイランの各施設を攻撃した。これに伴う為替の動きは予測が難しい。当初は有事のドル買いが優勢になると思われるが、円安が進むと日銀の政策金利の引き上げの可能性が高まる。中東の緊張が緩むとドル安に転じる可能性が高い。米国
・米国株
今後のイランとの衝突の激化や原油価格の上昇への懸念から米国株は下落する可能性が高い。4月からのリカバリーラリーも一巡し、関税の7〜9月期の企業業績への影響を見極めるステージで、悪材料に反応しやすい。特に債券に対して割高になっており、債券利回りの上昇には敏感になっている。減税や7月のFRBによる利下げが期待されていて、利下げが遠のくと株価は下落する可能性が高い。
・米国債
米国債は景気の減速を示す経済指標の発表を受けて中短期債が買われる展開が続いている。今後、関税の影響で、消費者物価は3%を超えてくることが予想される。イランの核施設攻撃の影響による石油価格の上昇も懸念されることから、長期債の金利は上昇しやすいが、MMFなどの待機資金が豊富なことを考えると、5%が上値になると思われる。
以上

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