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市況レポート「テディベアのマーケットアイ」10月14日号

好評をいただいている、弊社代表・野田隆の市況分析「テディーベアのマーケットアイ」。
ウェブサイトでは、先週の「マーケットアイ」よりトップコラムのみを転載しています。お取引のある皆さまへは、市場動向についてのコラムと併せてお届けしています。購読をご希望の方はお問い合わせフォームよりご連絡ください。

※このレポートは投資家に参考になる経済・市場環境に関する情報を目的としたもので、特定の有価証券の投資を推奨したり、投資勧誘したりすることを目的としたものではありません。また、このレポートは弊社が信頼できると考えられる情報に基づき、独自にこれを分析した見解であり、レポート作成時の執筆者の意見を正確に反映しますが、その内容を保証するものではありません。

⒈金融経済情勢
■激変する日本の政治情勢
26年ぶりに自公連立が解消され、日本の政治の潮目が大きく変わり始めている。依然として、高市自民党総裁が首相になる可能性は高いものの、情勢次第では野党連立政権の可能性もある。
現在のところ国民民主と立憲民主は基本政策や理念での隔たりが大きく協力は難しい。公明党も決選投票になっても棄権する方針で、そうなると196議席を持つ自民党が勝って高市氏が首相に就き、単独少数与党政権が発足する。立憲民主がこれからどこまで対応するかが試されている。
ただ、企業・団体献金の規制強化が野党協力を促す可能性が出てきている。国民民主も、維新も企業献金規制を棚上げして自民党との協力を深めれば、世論から批判を浴びるのは必至で、野党が自民党に接近するハードルはかなり上がった。野党は献金規制強化を、政権追及の材料にでき、物価高対策に目処が立ち次第、内閣不信任案を提出する選択肢も出てくる。自民党は、多数の地方議員を抱えそれぞれが代表を務める支部を通じて献金を受け取る仕組みになっていて、それが彼らの強さの源泉であり、企業献金規制強化は到底受け入れ難い。自民党が政治とカネの問題にケジメをつけられない限り、高市政権は常に政権運営に行き詰まるリスクを抱えることになる。

■米国にブラックスワンが訪れる?
経済や証券市場で問題が深刻になりつつあるのが米国の債務拡大で、米国は債務拡大で、借金を返すためには経済がもっと拡大する必要がある。借金の返済が、家計や財政の大きな部分を占めるようになるのは大問題だ。
ブルームバーグのニュースによると米投資銀行のジェフリーズが、チャプター11を申請した低所得者向けのビジネスを手掛ける米自動車部品メーカーFBGの売掛債権を約1100億円保有していると発表した。農中や三井物産が間接出資する貿易会社や、スイスの金融大手のUBSもFBG関連の債権などのエクスポージャーがあると報じられている。最近、比較的リスクの高い企業の倒産が増えていて、代表的なプライベートクレジットファンドなどの評価も下落している。高金利の継続で、負債の多い企業の業績が悪化していて、情報開示などが不十分なため、大型の倒産が起きると金融システム不安につながる恐れがある。景気や株価にいつ大幅な調整が入るか予測するのは難しいが、引き続きシャドーバンキング市場の動向をよくチェックしておく必要があると思われる。


2.マーケット動向
■日本株は押し目買い
日本株は短期的な過熱サインが点灯していたこともあり、公明党が自民党との連立を解消するなどの政治への不透明感や米中貿易戦争の激化が懸念され、週明けの株価は一時的に大きく下落する恐れがある。高市政権が発足し、まずはガソリン減税と年収の壁の引き上げなどの物価対策を押しすすめることが確認されれば反転上昇が予想される。万一、団体献金規制強化に取り組めば、さらなる大幅な上昇が期待される。

野党政権が発足した時には、政策の不透明感からその方向性が見えるまでは調整を余儀なくされると思われる。下値目処としてはトピックス指数で2900程度と予想している。
ただし、野党政権になっても、中低所得者の収入を増やす政策は普遍で、インフレや財政支出の拡大は変わらない。インフレでは企業はマージンを確保しやすくなり、また設備投資も積極的に取り組むので懸案だったROEも向上する。米国景気の減速や大幅な米国株安がなければ、いずれ日経平均指数で5万円を超えてくると予想している。
インフレ・金融引き締め環境下における金融機関の有価証券投資はALMが重要になる。インフレでは常に、コストの上昇とリターンの向上を意識し運用や調達を行う必要がある。融資や預金は流動性が低いので、流動性のある債券とうまく組み合わせる必要がある。日本の財政赤字は近年外貨準備などの資産の増加により改善してきていて、純債務残高のGDP比はこの5年間で172%から134%へと38%低下していて、ここ数年財政は改善傾向にある。日銀の金融引き締めが遅れ気味で実質金利はマイナスとなっていることで、インフレによる税収増などメリットを政府は享受していて、債券市場が危惧しているようなトラスショックは起きにくい。今後、余程長い期間金利を据え置きインフレが加速しない限り、債券利回りの大幅な上昇は想定していない。
インフレには株式投資が有効で、積極的に取り組むことで収益の補完や保有する債券の評価の改善に役立てる。インフレでは景気も市場も変動が大きくなるので、日銀の金融政策の変化にしっかり対応していくことが重要になる。

■米国株は転換点

米国株式市場は一部のAI企業を中心に連日高値を更新してきたが、11月10日の期限を迎え、米中の駆け引きが激しくなっていて、急速に高値警戒感が高まっている。ジェイミー・ダイモン氏はBBCのインビューで、米国株式市場は今後6ヶ月から2年以内に急激な調整が起こる可能性があり、深刻なリスクを抱えていると指摘した。また、AIに投資されている投資の一部は恐らく失われるだろうと警告した。AI分野でも、AI企業の循環的な巨額の取引が懸念され始めており、イングランド銀行も先週、循環取引とかつてのドットコムバブルとの関連性に言及し、AI企業の過大評価と、急激な調整リスクを指摘している。オープンAIが公表している支出の現時点での総額は、約1兆ドルで、エヌビディアやオラクル、ソフトバンクといった資金力のあるパートナーが、約2000億ドルの資金を提供するが、残りの8000億ドルはどこから調達できるのか懸念される。長い歴史の中でこれだけの巨額の資金を集めた例はない。電力でも、オープンAIの野心的な目標を実現するには原子炉が15基必要になるなど、オープンAIが資金の調達ができない可能性もある。
                                        以上

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