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市況レポート「テディベアのマーケットアイ」2月2日号

好評をいただいている、弊社代表・野田隆の市況分析「テディーベアのマーケットアイ」。
ウェブサイトでは、先週の「マーケットアイ」よりトップコラムのみを転載しています。お取引のある皆さまへは、市場動向についてのコラムと併せてお届けしています。購読をご希望の方はお問い合わせフォームよりご連絡ください。

※このレポートは投資家に参考になる経済・市場環境に関する情報を目的としたもので、特定の有価証券の投資を推奨したり、投資勧誘したりすることを目的としたものではありません。また、このレポートは弊社が信頼できると考えられる情報に基づき、独自にこれを分析した見解であり、レポート作成時の執筆者の意見を正確に反映しますが、その内容を保証するものではありません。


⒈金融経済情勢
⑴日本

高市政権の金融財政政策
衆議院選挙で自民党が過半数を獲得する可能性が高まっている。市場関係者の間では選挙結果を受けて、財政健全化に向けた対応特に消費税減税に対して慎重になるのではないかと言う見方が広がっている。高市政権の積極的な財政政策により、将来の国債の利払い負担の増加が懸念されて国債の利回りが大幅に上昇し、米国債の利回りにまで影響を与えることになり、軌道修正を余儀なくされている。日銀の金融政策についても、物価変動を考慮した実質金利は大幅なマイナスが続いていて、金融政策は過剰な緩和状態にあり、市場では、今後日銀は利上げを急ぐことになるという見方が増えている。日銀内部でも議論が始まっているようで、今後利上げのピッチが早まる可能性がある。高市政権の潜在成長率を1%以上に高めるという成長戦略は、その効果が現れるまでに数年を要するが、アベノミクスの時代とは異なり、財政支出を拡大するとすぐに長期金利が上昇してしまい、政策の遂行を難しくしかねない。国債の利回りの上昇を抑制するには、無駄な歳出の削減に努め財政規律への信認の回復を図ると共に、インフレに対する政府・日銀の姿勢が重要になる。


⑵米国

予想以上に堅調な米国経済

2026年の米国経済は、減税法案や資産効果による富裕層の消費に支えられ、堅調さを保つと見られている。26年の新たな減税の規模はGDP比0.5%前後と試算され、消費や設備投資を刺激する。雇用は減速しているが、移民抑制による労働供給の減少の影響が大きく、失業率は緩やかな悪化にとどまっている。ただし、有効求人倍率は1倍を割れていて、解雇が増加すると失業者を吸収できない恐れがある。半導体市場は、3から4年の周期で好不況を繰り返すとみられているが、足下のシリコンサイクルに基づくと2026年から2027年にかけて短期的に調整するリスクがあると言われていて、警戒が必要である。

米国によるレートチェック

ベッセント財務長官は、なぜ為替介入を検討する必要があったのか。ベッセント財務長官が最も恐れたのは、日本の国債利回りの上昇が金融不安に発展し、米国市場に波及してキャリートレードのアンワインドを巻き込み、米国金利が大幅に上昇することだった。ベッセント財務長官は先週メディアに対し「日本は潤沢な流動性を通じて、世界に資本を供給しており、日本の債券市場が混乱すると、世界の他の市場も混乱する」と述べた。ベッセント財務長官は.高市政権発足以降の日本の国債利回りの上昇によって、米国10年国債の利回りは50BP押し上げられたとみている。ベッセント財務長官は28日為替の介入を否定した。米財務省はまだ行動しておらず、日本から米国債への波及が限定的である限りは、今後も動かないかもしれない。介入を契機に全面的にドル安が進むことは避けたいと考えている。

2.マーケット動向
⑴日本

債券市場
日本は債務水準のGDP比率は高く、財政政策も拡大方向でリスクはあるものの、直近の水準は、日本の成長率やインフレ率から見ると許容範囲といえる。政府の支払い金利を2%としても名目成長率3%との差は大きく、GDP比の政府債務は低下傾向にあり、当面は財政支出の拡大に耐えられる。財政の持続性の問題は日本に限った話ではない。米国や欧州も同じで、あくまで投資は相対的なもので、売られ過ぎた長期の日本国債は、十分投資可能な水準にあると思われる。


株式市場

25年度の実質経済成長率は1%前半になる見通しで、当面の日本経済については、実質賃金の 上昇を通じて景気拡大が続く。企業業績は今期こそ関税の影響で足踏みするものの、来期は10%を超える増益が期待されているが、来期の大幅増益は既に株価に織り込まれている。ここからは、長期金利の上昇が収まらない限り成長戦略の成功を相場が織り込むことは難しい。自民で過半数の議席を獲得すれば、短期的に上昇する可能性があるが、中長期的には慎重なスタンスが必要になる。セクターとしては、AI関連から電機や輸送用機器、高配当・バリュー株などへ資金が移動すると予想している。

為替市場
レートチェックを契機に、為替相場が転換期を迎えたのではないかという見方が市場関係者の間で広がっている。為替介入を否定したのは、急速なドル安を抑えるための火消しに過ぎず、日米の協調体制は崩れていないという。
日米政府は関税合意に基づく5500億ドルの対米投資を巡る投資先の案件の絞り込みに入っており、高市首相の渡米に合わせて思惑的なドル買いが入りやすい。ただし、円安の動きは限定的なものにとどまり、その後は日銀による政策金利の引き上げが意識され、徐々に円高方向に向かうと予想している。


⑵米国

次期FRB議長と米国市場
トランプ大統領による次期議長人事で、金や銀が大幅に下落し、ドルが買い戻された。次期議長に指名されたウォーシュ氏は、コロナ危機対応のFRB資産肥大化がインフレ圧力につながっているとして、FRBバランスシートの縮小を主張するなど候補者の中では最もタカ派と見られている。金融市場に流れ込んでいた流動性は、資産価格を押し上げてきたが、ウォーシュ氏による資産縮小が実現すればマネー先細りにつながる。今回の指名にはベッセント財務長官の推薦があったと言われている。
ウォーシュ氏の過去の経歴を踏まえると、FRBの独立性を維持し、過度な利下げは行わないとみられているが、今後数ヶ月のうちに関税の影響が表面化し消費者物価が大幅に上昇する可能性が高い。米国市場の最大の問題は粘着性の高いインフレで、無理に利下げを強行すると、長期金利が上昇し、株価の急落を招くことになる。
AI投資の拡大が金利上昇の逆風を吸収し、関税などその他のマイナス要因を相殺してきた。今後AI投資の問題は資本効率で、どこまで収益を生み出せるかが焦点になる。最終需要がカギになり、顧客がコストを負担できなければ、資産価格の調整が起き、株価指数は調整局面に入る可能性が高い。

プライベートクレジットのリスク

2026年1月31日付日経新聞によると、プライベートクレジット市場において富裕層向けの金融商品で解約請求が増え、主要銘柄では約60億ドルの資金が流出したという。新規マネーの流入は四半期ベースで100億ドル程度の資金流入がまだ続いているが、90日延滞率の上昇や利払い繰延べ、追い貸しなどの事例も増えていて融資の質が悪化している。プライベートクレジットの中心となるダイレクトレンディングの残高は今年末には2兆ドルに達するとみられているが、今後昨年秋の米ファースト・ブランズ・グループのような焦げが生じると、解約が加速し資金の純流出に転じると融資債権の売却に追い込まれ、金融システム不安に発展する恐れがある。                                     

                                           以上

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