News
お知らせ
市況レポート「テディベアのマーケットアイ」8月4日号
好評をいただいている、弊社代表・野田隆の市況分析「テディーベアのマーケットアイ」。
ウェブサイトでは、先週の「マーケットアイ」よりトップコラムのみを転載しています。お取引のある皆さまへは、市場動向についてのコラムと併せてお届けしています。購読をご希望の方はお問い合わせフォームよりご連絡ください。
※このレポートは投資家に参考になる経済・市場環境に関する情報を目的としたもので、特定の有価証券の投資を推奨したり、投資勧誘したりすることを目的としたものではありません。また、このレポートは弊社が信頼できると考えられる情報に基づき、独自にこれを分析した見解であり、レポート作成時の執筆者の意見を正確に反映しますが、その内容を保証するものではありません。

⒈金融経済情勢 ※次号は8月18日の予定ですポスト石破政権について
・石破首相は少なくとも戦後80年の節目を迎える8月15日までは首相を続けると思われるが、それ以降は予測できない。ただ、たとえ首相が代わっても、自公体制で次の衆議院選挙に挑めば惨敗は必至と思われる。玉木首相を担ぐとか、自公立大連立に踏み切るとか、身を切る大胆な政界再編成に取り組まない限り体制を維持することは難しい。
日本は他の先進国に比べて税率は高くない。社会保障費負担率の高さが問題である。国民民主党や参政党が勝ったのは、政府が社会保障費等を、現役世代など取りやすいところから取ってきたつけが、一気に表面化したことに他ならない。立憲民主や他の既存政党も軒並み得票率を大幅に下げた。次の衆議院選挙では必ず消費税の引き下げが焦点になるが、原資を借金に頼るのは、次世代へ負担を負わせることになり、若者などの支持は得られない。消費税を下げるとしても、軽減税率を活用して、食料品やガス水道などの公共料金や鉄道運賃を下げるなど、逆進性を緩和する必要がある。医療費の応能負担など歳入を増やす工夫や、原子力発電所の再稼働とか円安是正とか、物価対策や経済成長を促す政策も合わせて実行する必要がある。今後の日本経済にとって重要なことは、単に生産性の向上を追求するのではなく、高齢化の進む社会の中で、ウェルビーイングな成長を促す仕組みを作ることである。これからどんな政権になったとしても、落ち着くまで何度も選挙や市場の厳しい評価を受けることになる。
米国の雇用統計が悪化
・今回の雇用統計は景気の減速というよりも、スタグフレーションの始まりを示唆しているのではないか。失業率は4.2%と予想と一致し、パウエル議長は求人と求職が同時に減少していて、雇用は均衡した状態にあるとしている。不法移民の取り締まりの強化が影響しているものと思われ、平均時給は前年比3.9%上昇と伸びが加速し、FRBが重視する雇用コスト指数は4〜6月期に、前年同期比3.6%上昇した。今後は企業が雇用コストの上昇の対応を迫られ、雇用の抑制、解雇の増加から失業率の上昇という第2段階に入る可能性が高い。利益率の低下に対応するため、値上げに踏み切る企業が増えてくることが予想される。連邦政府は関税で歳入が増えるが、そのコストを負担する企業の法人税は減少することになる。
長期債の利回りは上昇しやすく、スタグフレーションに対しては脆弱な状態が続く。気になるのは、4〜6月期に負債の多い企業のデフォルトが増加していることで、プライベートエクィティーファンドの保有する企業が多く含まれている。また、ローンのデフォルト率も上昇している。次のFOMCは9月になる。インフレに気を取られているうちに、利下げが遅れることが懸念される。
・日銀は今回の展望レポートで25年の物価見通しを大幅に引き上げたが、植田日銀総裁は決定会合後の会見で、不確実性が高いので利上げのタイミングは毎回適切に判断すると述べ市場からはハト的と受け取られ会見後円安が進んだ。利上げに前向きと受け止められるのを避けるため、コメントがやや慎重になった点が、市場の材料にされた。当時市場のセンチメントはドル高気味だったので、それほど利上げについて慎重になる必要はなかったのではないか。幸いその後円高が進んだので大きな影響はなかった。いずれにしても市場の織り込む利上げの時期も10月以降に前倒しするなど、日銀の意図に沿ったものになっていると思われる。
・日銀が物価の基調判断を据え置いているのは推計している需給ギャップのマイナスが理由になっている。7月27日の日経新聞によると、民間の推計は人手不足や労働時間の制約により需給ギャップがプラスに転じていると試算しているという。民間の推計を機械的に当てはめると日本はデフレを脱却して3年目に入ることになる。もしそうだとすると、需要に供給が追いつかないのに緩和的な金融政策を続けてきたことなる。それがインフレを助長しているのではないか。
2.マーケット動向米国株式市場
・先週の米国株式市場が、米国を代表するマイクロソフト、メタやアップルが驚異的な第2四半期を発表したにもかかわらず下落したのは意外だった。過去には、雇用統計などの悪材料が利下げ期待から株式市場の上昇につながった。今回は悪いニュースは悪いニュースになった。関税の影響で雇用創出が停滞し、就業者も減り、景気が後退することが懸念された。今期のGDPの成長率はおそらく1%以下と予想され、経済はデフォルトが増加するなど、関税による打撃と高金利が続くことで脆弱さを抱えている。
米国債
・9月、11月、12月それぞれ0.25%のFRBによる利下げが予想されている。米国債は9月にかけて、短期債を中心に金利の低下が予想されるが、長期債は消費者物価の上昇の影響で、頭の重い展開になる。物価が上昇していてもFRBによる利下げは行われると思われる。日本株式市場
・日米関税合意を受け日本の株式市場は急騰した。自動車の関税が15%に引き下げられたことが大きかった。米国株式市場は、関税の悪影響が表面化してきて大きく下落するリスクが高い。日本の株式市場は米国株式が下落するとハイテクや大型優良株を中心に下げやすい。玉木首相や自公立大連立などのビッグニュースが出れば急反発すると思われるがその可能性は低い。日本債券市場
当面は日本の国債利回りは低下しやすい。米国の景気の減速が視野に入ってきた以上、日銀が急いで利上げする可能性は低い。米国株や米国債、為替の動きを見ながら秋以降判断することになる。もし去年のように秋以降FRBが利下げしても、米国債の利回りが上昇し円安が進むようであれば、日銀は利上げしやすくなると思われる。当面日本国債10年の利回りは、1.5〜1.7%の範囲で推移すると思う。
・石破さんの後の新首相が誰になるかが焦点になる。ただ、高市首相のケースでも、政策を見極めるまでしばらくは想定レンジの範囲に収まると思われる。
以上

私たちは、資産運用ビジネスを支援しています。
お問い合わせはこちら