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市況レポート「テディベアのマーケットアイ」8月25日号

好評をいただいている、弊社代表・野田隆の市況分析「テディーベアのマーケットアイ」。
ウェブサイトでは、先週の「マーケットアイ」よりトップコラムのみを転載しています。お取引のある皆さまへは、市場動向についてのコラムと併せてお届けしています。購読をご希望の方はお問い合わせフォームよりご連絡ください。

※このレポートは投資家に参考になる経済・市場環境に関する情報を目的としたもので、特定の有価証券の投資を推奨したり、投資勧誘したりすることを目的としたものではありません。また、このレポートは弊社が信頼できると考えられる情報に基づき、独自にこれを分析した見解であり、レポート作成時の執筆者の意見を正確に反映しますが、その内容を保証するものではありません。

⒈金融経済情勢

ベッセント財務長官
ベッセント財務長官は、インタビューで日本の金融政策について、インフレが高まり、ビハインドザカーブに陥っていて早急に利上げを行うべきだとコメントした。日本の金融政策に言及した意味は極めて大きい。関税問題が一段落したところで、これまで控えていた通貨政策が浮上してきたと考えるべきで、発言内容は今後の市場の動向に大きな影響を与える事は間違いない。
ベッセント財務長官はレポートで、通貨に影響を与える中央銀行の役割を重視していて、日本は意図的に実質金利を大幅にマイナスにする超金融緩和政策で為替を円安に誘導すると共に、金融機関や投資家のリスクテイクを助長したと指摘している。ベッセント財務長官は、日銀の対応が後手に回り、インフレが加速した結果、最後になって政策を転換し、結果的に円金利が急上昇し、それが米金利を上昇させ、金融市場を混乱させることを最も恐れている。
米国内で関税政策の影響がこれから本格化し、インフレや米国債が不安定な状況で積極的なドル安政策に動く事は考えにくい。日銀に利上げを迫る事で間接的にドル安を促そうとしている。FRBに求めている金利の引き下げが実現していれば、日銀の政策金利の引き上げが、世界全体の金利に及ぼす影響を和らげることができる。貿易赤字や財政赤字を減らし、経常収支の大幅な赤字を削減しドルの基軸通貨としての地位を維持する事が、ベッセント財務長官の最大の優先事項で、為替については、急激な変動を避けながら、徐々に行き過ぎたドル高の是正を図るものと思われる。

日米の中央銀行の金融政策
日銀の植田総裁はジャクソンホールのシンポジウムに登壇し、「労働市場は引き締まった状況が続き賃金には上昇圧力がかかり続けると見込まれる」と語り、構造的な賃金上昇圧力の高まりを前向きに評価した。6月の消費者物価の前年比上昇率は3.3%となり日銀の物価目標を3ヶ月連続で上回っている。日本の物価上昇率は欧米よりも高い。米国は2.6%、ユーロ2.0%なのに、米国の政策金利は4.25〜4.5%、ユーロは2%で日本は0.5%と異様に低い。日銀は基調的な物価上昇率はなお2%よりも低いという認識で、関税政策の影響で賃上げのモメンタムが途切れるリスクや、米国経済の減速リスクを見極める必要があるというスタンスを維持してきた。賃金と物価の相互作用が起きていて、賃上げが途切れるリスクが小さいと判断することになれば、利上げのタイミングは早まり、9月の決定会合での利上げもありえる。
FRBのパウエル議長は、労働者の供給と需要の両方が著しく減少し、労働市場が悪化していることを認め、利下げについて前向きな姿勢を示した。今後の政策はデータに基づいて決定すると述べ、インフレに対しては引き続き警戒を維持するスタンスも示した。インフレに対するリスクは上向きで、雇用に対するリスクは下向きで、景気とインフレの両方に目配りが必要な困難な状況にあると述べた。29日に7月の個人消費支出が発表され、コア指数の上昇ペースが前年同月比2.9%と加速している可能性が高いが、関税の物価への影響は一時的として、9月のFOMCでの利下げはほぼ確実と思われる。

⒉マーケット

米国一極集中の修正
今年の1月からの主要な株式市場のパフォーマンスは、円ベースで比較すると、ドイツDAXが、23.6%、日本のグロス250が21.2%上昇している。TOPIXは11.3%、ナスダックは11%、SP500が9.3%上昇だった。これまでの米国一極集中が修正されてきている。トランプ政権の関税政策は、米国の財政収支を改善する為の世界的な増税で、米国からの投資を分散する動きは今後も継続すると思われる。日米の経済政策の相違
米国の政策の重点は財政支出拡大路線から金利の引き下げに移ってきている。日本は金融政策は引き締めに向かう一方で、財政支出は拡大する方向にある。米国はスタグフレーションに陥るかどうかが今後のリスクになる。日本は財政支出の拡大がリスクで、今後の政権の枠組みに注目が集まる。米国債の動向がポイントになる。

米国株式市場
9月のFOMCでの利下げを織り込んでいることから、今後の米国株式市場は、揉み合いながらスタグフレーションのリスクを織り込む相場展開になると思われる。今週は、エヌビディアの決算やPCEなど今後の相場を左右する重要な発表が予定されていて、変動が激しくなると予想している。AI市場の飛躍的な拡大に疑問を呈したMITのレポートも気になるところで、一旦株価が調整すると意外に長引く可能性がある。日本株式市場
日経平均で43000〜44000円の株式市場は、今期の5%程度の減益、来期の10%は増益を織り込んだ水準でこれ以上の上昇は難しい。当面は、揉み合いを予想していて、為替の影響を受けにくい内需関連の株が買われやすい。米国で政策金利の引き下げを期待して、ラッセルなどの小型株が堅調に推移していて、日本でも中小型のグロス株の上昇が見込まれる。9月の日銀の政策金利の引き上げは織り込めていないので、引き上げがあれば株式市場は下落する可能性が高い。ただし、現在の日本経済にとって適正な為替水準は130円前後と言われており、下げは一時的で、海外投資家の売りを個人や企業の自社株買いが吸収する展開を予想している。

為替
7月末に大筋合意した約1.3兆ドルの対米融資ファシリティーの創設が提案されていて、それに伴う巨額のドル買いによる円安を予想する市場関係者もいるが、米国サイドの過度の円安警戒スタンスを考えると、単純な円売りドル買いにはならないと思われる。
9月はFRBの利下げ、日銀の利上げが同時に行われる可能性もあるのではないか。その場合には1ドル140円を試す展開になると思われる。
                                           以上

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