News
お知らせ
市況レポート「テディベアのマーケットアイ」1月13日号
好評をいただいている、弊社代表・野田隆の市況分析「テディーベアのマーケットアイ」。
ウェブサイトでは、先週の「マーケットアイ」よりトップコラムのみを転載しています。お取引のある皆さまへは、市場動向についてのコラムと併せてお届けしています。購読をご希望の方はお問い合わせフォームよりご連絡ください。
※このレポートは投資家に参考になる経済・市場環境に関する情報を目的としたもので、特定の有価証券の投資を推奨したり、投資勧誘したりすることを目的としたものではありません。また、このレポートは弊社が信頼できると考えられる情報に基づき、独自にこれを分析した見解であり、レポート作成時の執筆者の意見を正確に反映しますが、その内容を保証するものではありません。

⒈金融経済情勢
⑴日本経済
想定よりも穏やかな高市政権の財政政策
高市首相が衆議院を解散する検討に入ったとの報道が流れた。自民党としては支持率の高いうちに選挙を行い過半数を確保し、議員定数の削減や企業団体献金の規制強化を避けたい狙いがあると思われる。自民党が勝利すると、高市政権の財政支出が拡大するとの見方があるが、実際の高市政権の財政政策はマーケットが意識したより穏やかなものになっている。26年度予算案は25年度と比べて7.1兆円も歳出の総額が増え、借金を増やして、大盤振る舞いの予算になったように見えたが、一般会計での新規の国債発行額は29.6兆円と2年連続で30兆円を下回り、公債依存度は25年度当初予算の24.9%から26年度予算政府案では24%に引き下げられた。税収の上ぶれを予め織り込むことで、国債発行額を抑制した。国民民主党の玉城代表は、赤字国債を発行するための法案に関して、「1年ごとに議会の承認を得るような仕組みに戻すと言うのも一案ではないか」と述べた。今後は、特例国債関連法案の行方が注目される。
消費者物価
エネルギー価格は、ガソリンの暫定税率廃止などにより大きく押し下げられ25年度末にかけてCPI上昇率は2%を割り込む可能性が高くなっている。食料品価格の上昇率も鈍化傾向が続いている。ただし、円安に伴う輸入物価の上昇を通じた原材料コストの増加が再び食料品価格を押し上げるリスクがある。
消費税引き下げ圧力
政府と与野党は、社会保障改革を議論する国民会議で給付付き税額控除の具体的な制度設計を目指す。政府は、物価高の打撃を受ける中、低所得層を支援する消費減税に変わる政策手段になり得るもので、月内の設置を検討している。政府自民党としては、早期に横断的な国民会議を設置し給付付き税額控除の検討を進めることで、選挙のたびに繰り返される消費税の引き下げの要求を避ける狙いがあると思われる。
⑵米国最高裁判決
今週中に関税の有効性を巡る最高裁の判決が出る予定になっている。関税が無効と判定されれば、撤廃しなければならない。関税が撤廃されれば、関税による貿易の停滞が解消され米国経済を刺激するとともに、関税が引き起こしたインフレが沈静化する期待が高まる一方で、2025年に成立した減税の財源を失い、財政赤字のリスクが拡大し、債券利回りが上昇することが予想される。関税が無効と判定されても、おそらくトランプ大統領は引き下がらず、通商法や通商拡大法など代わりの法律を用いて関税を新たに発動しようと試みる。それでも、多数の品目や国に課税することができないので、今までの課税の代わりには及ばないと思われる。
AIバブルの崩壊の影響
問題は、AIバブルが弾けるかどうかではなく、AIバブルで、何が起きるかである。エヌビディアを中心に、身内で資金を回し、AIのチップを買わせる循環的な取引が横行し、メタやオラクルなどが簿外で巨額の債務を急速に膨らませるなど不安材料は多い。AIバブルが崩壊すると、5000兆円を超える資産が失われると言われている。天文学的な額に膨らんだAI各社の債務は複雑に入り組んでおり、シャドーバンクとも絡み、誰が最終的なリスクの引き受け手かわからず、金融システムが大混乱に陥るのは間違いない。バンク・オブ・アメリカが25年11月に実施した調査でも機関投資家の多くがAIバブルが最大のリスクだと答えている。過去のバブル崩壊の例を見ても、予め対応することは難しい。おそらく素早く機動的に対応できる一部の企業だけが危機を回避できるのではないか。
2.マーケット動向
⑴日本
大幅な上昇が予想される株式市場
報道通りに、早期の解散となれば、高市政権への投資家の期待は盛り上がり株価は大きく上昇する可能性が高い。2025年9月に石破全首相が退陣を表明して以降高市ラリーが強まり、日経平均は25%前後上昇した。早期解散で成長戦略を軸とする政策が実現するとの期待がさらに高まる。政策は過去、郵政民営化やアベノミクスなど選挙で変化への気運が高まったケースでは、選挙後株高基調が継続し、大相場になった。政策の効果により、経済が安定成長の軌道に乗るには2〜3年程度要すると言われている。持続的な株価の上昇にはインフレの抑制と長期金利の安定が不可欠で、それに失敗すると株価は再び長期低迷することになる。短期的に警戒しておかなければいけないのは、政府による為替介入だ。早期解散検討の報道を受けて、158円台まで円安が進んでおり、さらに円安が進むと介入警戒が強まりやすい。介入で円高が促されると一時的に株価が下落する可能性がある。
今年前半の日経平均の想定されるレンジの上限を早期解散の可能性が高まったことを受けて、56000〜58000円に切り上げる。
債券・為替市場
日本の政府債務は突出しており、今まで利息をほとんど支払っていなかった間は安心していたが、財政拡張と金利上昇が続くと財政コストは増加し債務ショックが起きるリスクが懸念されている。衆議院の早期解散となれば、もう一段の為替の円安と、債券利回りの上昇が予想され、債券は金利正常化の過程での当面の高値をつけることになる。(10年国債利回り2.3〜2.4%)日本は英国と違って経常収支は大幅な黒字で、対外純資産も巨額で資本を国内に戻して、債務を補うことができる。また、高市首相の財政拡張政策は、実際よりも話題が先行している。就任から国債の発行は増えていない。また、今後物価の低下も予想される。日銀の政策金利の利上げは前倒しされる可能性が高く、緩やかな利上げが進み金利差が縮小し円を押し上げ、債券の利回りも落ち着いてくると思われる。年後半の米国景気の減速に備え、この機会に、債券ポートフォリオの再構築を行うことが望ましい。将来、高市政権と日銀がデフレ脱却後の日本を安定した成長軌道に導くことができれば、長期金利は安定し、為替は120円前後に落ち着くことになる。
⑵米国
米国株式市場
バブルへの変化、懸念を抱えながら株式市場の買いの勢いは止まらない。11月の中間選挙やパウエル議長の後任への期待がある。かつて強気相場が終わる時は金融政策の引き締めや、景気交代、インフレ亢進、バブル崩壊などはっきりとした警告サインがあったが、今のところ見当たらないことから、株価上昇すると見る参加者が多い。それでも3年連続で2桁の上昇率を記録した後だけに、株価の上げ幅が縮小する可能性が高い。SP500種のPERは22倍と世界市場に比べて高い。AIへの成長期待が剥落したわけではないが、多くの投資家は既に同様の銘柄を大量にポートフォリオに組み入れており、追加投資の余地は乏しくなっている。投資家は、中間選挙前の景気対策などAI以外の銘柄やテーマを探し始めている。トランプ大統領の景気対策の恩恵を受けやすい米小型株のラッセル2000などが上昇している。見方を変えれば、米国株式市場は景気の減速の影響を受けやすくなっているとも言える。
以上

私たちは、資産運用ビジネスを支援しています。
お問い合わせはこちら